玉  鋼

玉鋼は島根県の山中で採れる砂鉄(さてつ)を、木炭といっしょに「たたら」と呼ばれる古い形式の炉で吹いて造られる不純物の非常に少ない優秀は鋼で、世界最高と言われる日本刀の原料。

「たたら」は、粘土で四角の炉を築き、下からフイゴで風を送るようになっている。木炭を入れて火を起こし、十分温度を上げてから木炭を入れては砂鉄をふりかけ、また木炭を入れて砂鉄を足す作業を繰り返して加熱を続ける。このとき使う砂鉄は真砂(マサ)と呼ばれ、スェーデンで採れる鉄鉱石と比べて勝るとも劣らない良質な砂鉄である。熱せられた砂鉄は炉の中で酸素を失って純鉄となり、ただちに炭素を吸収して銑鉄に変わる。銑鉄は溶融温度が低く、1350°くらいから滴のように落下して炉底に溜まる。その表面に風が当たると銑鉄の中の炭素が燃焼して鋼となる。

 

 

 

 

 

 

 

〈参考〉

三条金物青年会発行 岩崎航介著「刃物の見方」